新規就農事例

廿日市市

前川 すずみさん(47歳)

平成24年9月就農

取材
平成29年6月27日

農業女子、起業、女性目線

○デパートの婦人服オーダーサロンの店長をしていましたが、業務縮小を機に、子供の頃から親しんでいた農業を父が元気なうちに教わり、経営を引き継ぐことを決意して2012年9月に就農しました。丁度その頃保育士をしていた妹の淳子も、家族で協力して営める農業を生業にしたいと半年遅れて就農、2015年1月に二人で前川農園を立ち上げました。
○業務内容としては,水稲と畑作,加工や営業,経理事務など二人がそれぞれ得意な分野を担当して進めていますが,忙しいときには協力し合うなど,お互いが補完しながら経営しています。

1haの農地で、水稲や廿日市市特産野菜の大長なす、イチゴ、ほうれん草などに加え果樹も栽培していますが,同時に他にはないオリジナルな品目も生産販売しています。更に,地元企業とのコラボによる加工販売など6次産業化を進めたり、園児から大学生まで食農教育にも協力しています。また、三原市の作業服メーカーATOM WORKSとのコラボでお洒落な田靴グリーンマスターを開発,今やアウトドアグッズ,街中でも履ける長靴として引っ張りだこのようです。それが縁で,2014年11月には農林水産省が推進する「農業女子プロジェクト」に広島県で初めて参加、全国の仲間と共に女性目線を活かし、女性や高齢者でも楽しく農作業できるようにと、大手企業と提携して農機具、軽トラ、化粧品、洗濯機、下着など様々な商品開発にも携わりました。

小さな農家だからこそできることも沢山あります。生産だけの農業なら体力勝負ですから,残念ながら男性にはかないませんし,食べていけません。しかし,アイデア(知恵)や趣味を活かしそれをお金に換える(知的財産)・・・そんな農業を,いや「ビジネス」をしたいと思っています。様々な業態とのコラボレーションの目的もそこにあります。そのためには「気付く・考える・行動する+スピード」が大切です。これからも、女性目線で女性らしさを忘れずに、応援していただける消費者の皆様の身近な農家でありたいと考えています。

就農の際には,特別な支援制度はありませんでした。強いて言えば商工会の補助事業を活用して食品加工機器(スライサー,製粉機)を導入したことくらいでしょうか。

自分なりに工夫できる現代の農業には夢があります。人の真似ではなく,自分なりの農業を確立する事,オリジナリティが大切であり,また楽しいです。そんなことへの挑戦が,新たなビジネスチャンスをもたらしてくれます。個性的な経営をクリエイトしてください。

就農者の写真1 就農者の写真2